「VR酔い」と「EV車酔い」の原因は、「擬似的な移動に対する違和感」?

充電器につながれたEV車を斜め後ろから撮った写真

「普及しそうで普及しないけど、ちょっと普及してきた商品」というものは世の中にたくさんありますが、VRゴーグルもその一つではないでしょうか。ネット上で話題を目にすることは頻繁ですが、周囲に使っている人があまりいません。

それでも話題になっているのでずっと気になっていたのですが、先日「変なホテル」に宿泊したら、Meta Quest 2のレンタルを行っていたので、これは良い機会だ、しかも誰の目をはばかることもないと思い、レンタルしてホテルの部屋の中でVR世界を体験してみました。

ゴーグルを装着してスイッチを入れると、視界に広がるバーチャル世界。いくつかのアトラクションやゲームが事前に用意されていたので、慣れないコントローラでなんとか操作してそれらのアプリケーションを開くと、360度、上を向いても下を向いても空間が広がる体験に、「これは確かに没入感あるわあ」と、しばしうっとりとしておりました。

しかしあるタイミングで、「酔う」という感覚に襲われた瞬間、「あ、もう無理だ」と思い、ゴーグルを外しました。頭痛が起こり、吐き気をもよおしていまったのです(ホテルの部屋の中なのでそのままベッドに横になった時「だからホテルでレンタルしてるのか」と思いましたが、違いますよね・笑)。

それは、はじめジェットコースターをヴァーチャル体験するアトラクションの時に起こりました。画面上では、一人称視点、つまり実際に自分が世の中を見ているのと同じ視点(ゲームで言う「FPS」ですね)で自分がコースターの座席に乗っているような状態になっています。最初ゆっくりと前へ進む時は良かったんですが、コースターが加速して、右へ左へと走りはじめた途端、「うっ……」と気分が悪くなり、慌てて終了。その時は、僕がそもそも遊園地の乗り物が苦手だから酔ってしまったんだろうと思っていました。

そのあと、VR空間内で、みんながそれぞれ自分のアバターで参加する世界に、自分もアバターに置き換わって入っていきました。最初は他の人たちのアバターが動き回っているのを眺めていて、「結構賑やかなもんだな」などとのどかに傍観していたのですが、コントローラーを使っていざ歩きはじめた途端、一歩目で吐きそうになってしまいました。

わたしは、車の後部座席に座って蛇行する道を延々と進んでいたら流石に気分が悪くなる時がありますが、普段あまり車酔いなどをするタイプではありません。それでもこんなに酔うものが一体どこまで普及するんだろうか……と疑問が湧きましたが、そのあと、自動車業界のお仕事をされている方から「EV車は酔いやすい」というお話を伺いました。わたしは車の運転の経験も免許を取ったことも一切ないので詳しいことはわからないのですが、どうやらガソリン車とEV車では構造が違うため、ガソリン車と同じ感覚でEV車のハンドルやアクセル、ブレーキを操作した際に「違和感」が生じるんだそうです。お話を伺った方によると、EV車で酔わないように運転するコツのようなもの(ハンドルの切り方、アクセルの踏み込み方など)にコツがあるらしいのですが、今の時点ではあまり知られていないそうです。

このお話を伺った時に、もしかしたら「VR酔い」と「EV車酔い」には、共通する原因があるのではないかと思いました。VRで酔った時は、ジェットコースターでもアバター空間でも、自分自身が同じ位置に止まっているのに、画面上で配置が移動していました。EV車で酔うのも、自分自身が座った状態のまま、位置が移動するわけです。電車でも自動車でも、酔う人はいるわけですから、もしかすると、この「自分が移動していないのに移動している感覚」に「違和感」を覚える時、人は「酔う」のかもしれません。

もし、「VR酔い」、「EV車酔い」について詳しい原因や解決方法をご存知の方、ぜひご教示ください。