真空管のミニチュアを3Dプリントで作ろう:Part2「色決め・入稿編」
![真空管ミニチュアの色分けレンダリング画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/main2b.jpg)
これまでのあらすじ
前回は、初めて3Dプリントに挑戦することになり、3Dプリントサービスの業者選びからスタート。入稿条件に合わせてBlenderで手間暇かけてミニチュア真空管の3Dデータを作り、万全のつもりで入稿したのですが、校正を確認すると、なぜか色が……。
マテリアルの色
実際の3Dプリントではパソコンのモニターで表現されているの光の三原色(RGB)を印刷用樹脂のCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・黒)に変換し混合して様々な色を再現します。ただ「シルバー」という色は再現できませんので疑似的に薄いグレーを用います。
ということで、仕上がり想定に近くなるように、Blenderの3Dモデルにマテリアルの色を割り当てていきます。
![使用カラー画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/07/使用カラー.jpg)
![真空管ミニチュアのレンダリング画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/真空管_main2.jpg)
色の違いをどうするか
![校正確認画像の色の数値](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/07/校正確認画像の色の数値.jpg)
しかし、校正確認書の色はイメージしていたよりとても濃かったので、RGB数値を表記してもらいました。
すると、シルバー想定のRGB値は、こちらからアップしたデータではR151, G151, B151 だったところ が、R72, G72, B72 になっています!?
改めてこちらの作業工程を確認してみると、
Blender でオブジェクトデータ作成しOBJファイルにエクスポート
↓
3D Builder で OBJファイルをインポートし修復後、OBJファイル保存。
>>ここで3D Builder のプレビューの見た目の色が濃くなっています。
3D Builderにインポートしたときに問題が発生しているのか、対処法もわかりません。
![3D Builder プレビュー画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/3D_Builder_Preview_a.jpg)
キンコーズに問い合わせてみました。
「元の3Dモデル 300B_Body_a.obj のMTLファイルの数値を書き換えると色が変わります。適当な数値を入れているので、指定のR151, G151, B151 の数値になるよう調整。」
![MTLファイルの書き換え前と後](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/mtl書き換え前と後.jpg)
![MTL書き換えで色が変化した校正画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/mtl書き換えで色が変化.jpg)
OBJファイルにエクスポートすると、マテリアルの情報を持ったMTLファイルが同時に書き出されます。
MTLファイルの中身がテキストで開いて見られて、書き換えられるとは思いませんでした。
実際プレビューでも色の変化がわかります。
数値が変わってしまっているのが原因のようですが、それがなぜかは分かりません。
よって、数値を書き換えて対処しようということのようです。
色の違いはなぜか
そもそもこちらで指定している色が間違っているのか、Photoshopに数値を入れて調べてみました。
MTLファイルのKd の各数値は、0.309982 です。BlenderのRGBの各数値の、0.309982 で同じです。そのHex値は、979797 です。PhotoshopのRGBの各数値の151 は、Hex値で、979797 と同じです。
Blenderの数値はPhotoshopの数値で見ても、見た目にそれほど違いがありません。
![MTL、Blender、Photoshop、RGB数値調べ](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/RGB数値調べ.jpg)
キンコーズで調べてもらった、シルバー部分の R151, G151, B151 に対応するMTLでの値を調べると Kd 0.592157 0.592157 0.592157 でした。
この値をBlenderのRGBに入れ、HEX:CACACAとなり、PhotoshopのR202, G202, 202 でした。
元のKdと比べて値が全然違いますね。この確認方法が、間違っているのか・・・
キンコーズでは、RGBからKdへ値の算出はどのようにされたのでしょうか?
![キンコーズの色変更数値](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/キンコーズの色変更数値.jpg)
キンコーズに問い合わせてみました。
「3Dモデルデータのチェックに Materialise Magics を使用。マテリアルをR151, G151, B151に指定し、OBJファイルを保存。そのMTLファイルが、Kd 0.592157 0.592157 0.592157 なので、その数値を使用。」
「他の色の数値も少し変更されている。MTLファイルの解釈が違うのか。」
![MTLファイル書き換え後、Materialise Magicsで保存後、MTLファイルの内容](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/mtl書き換え_magicsで保存後.jpg)
Materialise Magics のマテリアル R151, G151, B151、どうしてここまで薄いグレーになるのか、このアプリケーションを使ってないので分かりません。
それより驚きは、データを開くアプリケーションによって別の色の数値も変更されていることです。
どうも、MTLファイルは別のアプリケーションで再保存されると色変更が起こりうるようです。
3Dプリントへ
もうこれ以上は、出してみないとわかりません。
よって、2種類出力してもらうことにしました。
1. 元データのまま
2. キンコーズのMaterialise Magics上でこちらの指定したRGB値に変更
下は、最終確認PDFの画像です。
![最終校正画像](https://www.rockets.co.jp/cms_site2023/wp-content/uploads/2023/04/最終校正画像-1024x702.jpg)
内容がOKであれば、見積もりが出てきます。
・フルカラー3Dプリント:2個 ¥38,610-(税込)
・配送料(午前中お届けの時間指定あり) ¥1,760-(税込)
合計:¥40,370-(税込)
納期:11営業日
全高4センチでとても小さいのになかなかの可愛くないお値段です。ちなみに今回のフルカラー3Dプリント1個の場合は¥34,897-(税込)で、2個目は樹脂素材の容量分が追加の金額になっているそうです。
質問や、最終確認画像のやりとりはメールで行ってきました。3Dモデルデータのチェック、最終見積もりの確認、注文はキンコーズのサイトのマイページから行います。
3Dアプリケーションによって色が変わる場合があることがわかりました。カラーマネジメントが3Dアプリ間で整っていないのか、今までBlenderだけで完結していたので気にしていませんでした。
プレビューだけでなく数値自体が変わっていますので、確認書で大きく色が変わっている場合は要注意ですね。
次は、いよいよ完成品が到着。3Dプリント出力がどんな風に仕上がるのか楽しみです。
(次回「磨き編」へ続く)