ウエルシア・P&Gの取り組みから思う、多様性を尊重する社会への道

ドラッグストアのウエルシアが、LGBTQ+に配慮した店舗運営に力を入れているそうです。
5月より、P&Gとともに「インクルーシブ・ショッピング プロジェクト」と銘打って、店舗での接客における対応をまとめたハンドブックを作り、一般公開するとともに、従業員が店舗で実践し、性に関する差別や偏見を取り払うことで、心地よく買い物ができるよう取り組んでいるとのことです。
ハンドブックは、LGBTQ+の方への理解を深めるための基本を押さえた上で、相手の立場になって考えることの大事さが解かれ、どのようなお声がけをすべきか、具体的なアクションについても記載されています。例えば、お手洗いをご案内する時に男性用・女性用・共用トイレを併せてお伝えする、お客さまにカミングアウトしていただいた場合は、他のスタッフに共有しないことをお伝えする、など。
わたしはヘテロセクシャルなので、LGBTQ+の方々が何を不安に思っているのか、どんなことで悩み、苦しんでいるか、上記の例も含めてあまり考えたことがありませんでした。それでも、このようなハンドブックに目を通すことで、どんな悩みや不安を抱えているのか、わたしたちにどんな配慮ができるのか、理解はできなくても、相手の立場になって考えるためのヒントは得られたと思います。おそらく、ウエルシアとP&Gがこのハンドブックを一般公開しているのも、従業員に限らず、全ての人に気づきや考える機会を作りたいという思いがあってのことでしょう。
そして、LGBTQ+の方々に意識を向けることは、性的マイノリティに限らず、社会にはびこるあらゆるマイノリティに対して意識を向けるきっかけにもなるのではないか、と、ハンドブックを見ながら思いました。この冊子はLGBTQ+のこととして書かれていますが、その中から普遍的な「他者への思いやり」を連想することもできると思うのです。世の中には、外側からは見えない、自分には想像もつかない不安や悩みを抱えている人たちがいる。翻って自分にも、マイノリティとしての悩みがあるということに改めて気付かされました。みなさんにも、周囲の人にあまり理解してもらえない、社会の中で見過ごされていると感じるようなことがあるのではないでしょうか。
P&Gの掲げる「インクルーシブ」には、人種・民族・障害も含まれています。今後はLGBTQ+への配慮にとどまらず、さまざまなマイノリティへの対応が進んでいくことになるのでしょう。ウエルシアに限らず、あらゆる場所で、このような取り組みが増えていってほしいですね。わたしたちも、デザインという仕事を通じて、いかに「インクルーシブ」な社会にしていくことができるのか、考えていきたいと思います。