沢山のご来場ありがとうございました!「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会・出張編@UrBANGUILD」レポート

2月20日、epokで行いました前回の視聴会より約8ヶ月ぶりの「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会・出張編」を、京都は木屋町にあるライブハウス・UrBANGUILDで開催いたしました。

17時頃に会場に着くと同時に、三浦社長・浅井さんのA&Mチームも機材を積んだ車で到着。早速会場内に機材を運び込み、セッティングを開始。

今回はATM-1SATE-2T-01WADIA581に、現在開発中というMSM-1の後継機にあたるフルレンジのスピーカー、というオーディオセット。約1時間でほぼ全体のセッティングは終え、その後スピーカーを舞台の上に奥か下に置くかで試行錯誤した後、最終的に舞台前の床に置いて完了。開場まで、試聴音源をチェックしていました。本番ではかけず、開演前に小さい音で流しただけでしたが、テニスコーツの「ときのうた」は、UrBANGUILDと真空管オーディオシステムの組み合わせで聴くと、より一層感動的でした。

この日は物販に、ほ〜ぷ軒わくわく試聴会でもお世話になっている杉本くんに、事前にA&Mの試聴室でチェックした録音の良かった作品を並べてもらいました。ついでに、A&Mブランドのアナログ盤も。

19時の開場と同時に、お客さんが続々とご来場。いつもだと、開演時間前後にようやく集まり始める、というのが視聴会の傾向だったんですが、あっという間に10人くらいのお客さんが飲食したり談笑したりととてもいい雰囲気に。正直、開演直前までガラガラだと壮絶に不安になるので、早く来ていただけるとホッとします(笑)。

19時半、ほぼ定時にイベントをスタート。始めはいつも通り、これまでの視聴会の経緯の説明やオーディオシステムの簡単な解説をして、三浦社長の方から様々なレコードをかけてもらいました。

フランク・シナトラハリー・ベラフォンテジョーン・バエズライオネル・ハンプトンオスカー・ピーターソン……と、お馴染みの名演・名録音を、音楽やレコーディングなどに関するあれこれを三浦節で語りながら聴いていただきました。ベラフォンテは五回目の視聴会以来久々に“Matilda”をノーカットでお送りしました。終演後に感想などをお聞きしてると、最後のオスカー・ピーターソンが特にインパクトが大きかった印象ですね。

そして後半は、三浦社長と浅井さんはステージを降り、僕一人で(UrBANGUILDの舞台に一人で立つなんて、自分でもええ度胸してるなというか身の程知らずだなと思いましたが)進行。アナログレコードをかけていた前半からうって変わり、CDをかけるコーナーです。ここでは、ほ〜ぷ軒から商品をお借りして、UrBANGUILDで録音された、アーティストも録音エンジニアも違う3つの音源をかけました。

まずは、西川文章さん録音による三田村管打団?。続いて東岳志さん録音による3月33日をお聴きいただき、そしてUrBANGUILDのPAエンジニアでもある粕谷茂一さん録音による長谷川健一をかけた流れで、茂一さんに舞台に上がっていただき、本作のレコーディングについてや聴かれた感想など、色々お話をお伺いしました。UrBANGUILDのPAエンジニアでもあり、レコーディングエンジニアでもあり、実はオーディオマニアでもある茂一さんだけあって、話は多岐に渡り、その流れのまま、最新のUrBANGUILD/茂一さん録音であるswimmの新譜をかけさせていただきました。

その後、swimmのレコーディングについてのお話などを訊きながら、そのままエンディングへ。一旦中締め、という感じで、この後はお客さんのお手持ちの音源をかけるコーナーとさせていただきました。マイクを置いた途端、舞台上の僕の前に列が出来てしまってびっくり(笑)。CDプレーヤーの読み込み精度の問題や、本編の後半が少し押してしまったために時間がなく聴いていただけなかった皆さん、申し訳ございませんでした。また次の機会にぜひ。

平日の夜、しかも2月はイベント全般的に集客が厳しいと言われる中で、特に寒かったこの日にいったいどれだけの人が遊びに来てくれるんだろう……と、当日開場するまでずっと不安だったんですが、舞台上で進行している間にも続々とお客さんが来られて、最終的には30人超の方が来て下さったということで、昨年の旧グッゲンハイム邸での視聴会に迫る沢山の人たちに集まっていただけました。今まで大阪・神戸での視聴会の時は距離的に行けなかった、という京都の人たちや、F.M.N. SOUND FACTORYの石橋さんやキツネの嫁入りのひさよさん、ゆーきゃんさんといった京都の音楽シーンを支える方々も来られていて、京都でやって本当に良かったな、と改めて思いました。もちろん、神戸から来られた人も含め、遠くからわざわざ足を運んで来て下さった方々もいらっしゃり、もういくら感謝しても感謝しきれません。

イベントとしては、前半のレギュラー的な内容をしっかりやりながら、後半で現代録音の、しかも関西で活躍する3人のエンジニアさんにフォーカスした試聴ができたこと、そして茂一さんと「録音した場所で、録音した音源をピュアオーディオで聴いて、録音した人がそれについて話す」ということが出来たのも、大きな成果だと思っています。以前西川文章さんにお話を伺った時もそう思ったんですが、エンジニア目線の話を、“いい音で”聴きながら伺うのはとても面白いんですよね。それで去年の11月には別のイベントで、実際に録ったものについて文章さんにもお話ししてもらったんですが、それを“会場縛り”でやろうと思うと、録音ソースも色々揃ってないといけないし、エンジニアさんにも来てもらわないといけない、そして何よりその会場をお借り出来なければ実現不可能……そんな条件を奇跡的に全てクリアできたという感じでした。多分こんな事は二度と出来ないでしょうね。世の中的にも、こんな事誰もやったこと無いんじゃないでしょうか。加えて、物販も連動してましたしね。

イベントの最後に、「関西には茂一さん、東さん、文章さんといった、音にこだわりを持ち、真剣に取り組む名エンジニアさんが揃っていて、その方々の音を堪能出来る我々関西人は実に幸福だと思う」というような話をしましたが、実際、前半でかけたような録音は、機材の問題も含めて最早不可能だと思っています。今の機材、今のノウハウで、どれだけの音が録れるのか。それをどう模索していくか、ではないでしょうか。茂一さんは「デジタルの未来に全く悲観していない」とおっしゃっていましたが、そんな茂一さんのような方々が、「今の時代の“名録音”」を生み出すその一翼を担っているんだと思います。この日の後半で聴いていただいた“21世紀の音源”には、ノスタルジーでも古典でもない、新しい音の世界を築いていくための重要なヒントが沢山詰まっているのではないでしょうか。少なくとも僕は、そんな思いで選曲しました。

というわけで、神戸・大阪・京都と続いた「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会・出張編」も、これにて終了です。いつかまた、どこかの街でお会い出来ればいいなと思います。

素敵な場所と時間を提供して下さったUrBANGUILDの皆さん、今回も最高のトークと最高の音楽をご提供くださった三浦社長と浅井さん、たくさんのCDを用意してくれたほ〜ぷ軒杉本くん、大変寒い中お集まりいただいたお客さん、そして、京都での視聴会の実現の橋渡しをして下さったキツネの嫁入りのマドナシさん、本当にどうもありがとうございました!

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