約半年ぶり!ピュアオーディオ視聴会・番外編「ピュアオーディオで聴こう!DSD試聴会 Vol.2」レポート

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昨年6月、「ピュアオーディオ視聴会・番外編「ピュアオーディオで聴こう!DSD試聴会」」として、neco眠るの森さんと共にいくつかのDSD音源を試聴し、その生々しいサウンドを楽しみながら、「DSD音源とは何か」についての様々な考察を行いました。

今回の試聴会では、ミュージシャン、エンジニア、イベンターと、幅広く音楽に関わる方達に来ていただきました。
これまでピュアオーディオ視聴会に来てくださった方を中心にお誘いしましたが、特にこの日は「Premium Studio Live」でPAを務められた西川文章さんが来てくださったので、以前試聴させていただいた「火のこ」を中心に、現場目線、エンジニア目線でのお話も沢山お聞かせいただきました!

さて、この日の再生環境は以下の通り。

プレーヤー:MacBookPro+Audirvana Plus 1.1.2
DAC:Playback Designs MPD-3
プリアンプ:Spectral DMC-15SS
パワーアンプ:CLASSE CA-2200
スピーカー:B&W PM1

まずは早速、昨年末にも聴かせていただいた”大統領を起こそう”から聴いてみることにします。

西川文章さん(以下“西”)「現場におった人間としては、僕はハコの一番後ろでPAやってて、その日は特殊なサラウンドの音場を作ってたから、聴こえ方は(現場とは)全然違うんやけど。ただギターの音とかは、僕はアンプのどの距離で狙ってるかは知ってんねんけど、その“何センチで狙ってるか”というのが、分かりますよね」

えええっ、そんなことまで(笑)。

西「っていうぐらい、確かにリアル」

確かに聴いていてリアルだなぁ、という感覚はありますが、やはりエンジニアの方の耳にかかるとそこまで生々しく見えてきちゃうんですね。

西「ただやっぱり、めっちゃリアルやから、内橋さんのギターの歪みが(現場でも)確かにあったんやけど、あれって現場では結構マイルドに聴こえてたんやけど、DSDでガシッと録ると歪み方が気になる。真空管アンプ使ってたのに、トランジスタアンプの歪み方に近い聞こえ方しますね」

なるほど。実は前回森さんと行った試聴会でも、ギターの歪んだ音をDSDで聴いた時に、何となくDSDというフォーマットとの違和感があるなぁ、という思いはしていたんですよね。

続いて、これは僕も衝撃を受けた「DSDソースとPCMソースの聴き比べ」を、前回通り“不和リン”で。まずはDSD音源を聴いていただいて、その後PCMの24bit/192kHzに変換したものを。

西「PCMとDSDの音が全然違ってて、さっきの音源と比べると、かなり現場に近い聞こえ方になってる。多分ミックスのバランスとかもあると思うんやけど」

楽器も生音とダクソフォンのピックアップからのラインの音ですから、状況はだいぶ違いますよね。

西「PCMと比べると、“PCMってこんな感じなんや”って。やっぱり高音ジャキジャキしてるよなぁ。これ、192(kHz)っすよね。これでこの音やったら、別に48(kHz)以上要らんのちゃうかなぁ、っていう」

ですよね。DSDのインパクトと比べると、実に頼りなく感じてしまいます。

西「DSDの方が丸いしナチュラルやし。PCMは始まった瞬間に声のサ行の音が一発で気になるな」

192kHzまで上げると、そこが余計に耳についてくる感じがあるのかもしれませんね。

西「こう聴くとやっぱDSDはいいっすよね。PCMあかんなぁ(笑)。確かに44.1(kHz)よりは良い感じはするけど」

DSD録音は、やはりこの「DSDで聴いた後にPCM聴いた時の落差」が相当大きいので、こうやって聴き比べた時の驚きとインパクトがものすごく大きいです。DSDの良いポイントが見事にそぎ落とされる感じがあるので、「DSDとは」ということをよりよく知るためには、このPCMとの比較試聴はかなり大きな助けになります。

さて、この日は個人イベンターの皆さんにもお越しいただいたので、それぞれご感想を聞かせていただきましょう。まずは、高槻の試聴室にも過去にお越しいただいたこともある、我々もピュアオーディオ視聴会をさせていただいた旧グッゲンハイム邸でのイベントを4月に企画されている一橋さんから。

一橋さん(以下“一”)「感覚でしかないですけど、DSDの方が音に包まれてる感じがしました。でもその後でPCMを聴くと、音が包み込むほど届いてこなくて、ちっちゃくなったような印象がありましたね」

続いて、「極楽駐屯地」というイベントを企画されている谷本大輔さん、いかがでしたか。

谷本大輔さん(以下“谷”)「DSD聴いたときは、音が目の前に飛んでくるような印象があったんですけど、PCMは目の前に一枚磨りガラスが挟まったようなイメージがありました。こんなに違うのか……ってびっくりしました」

最後は高槻の視聴会の「最初のお客さん」でもあり、HOP KENというイベントを2008年から続けられていて、今年はepokのスタッフとしても活動されている杉本くん

杉本くん(以下“杉”)「DSDって天井が高い感じがしたんですけど、音が伸びるときに、PCMはDSDよりも手前で止まっちゃうような感じがしたのと、写真で言うと、PCMは画像がちょっとだけ荒くなったものを見ているような感じを受けました」

やはり誰もが明確にその違い、そしてDSDの特徴が感じられるようです。この辺りの差が、やはり実際聴いてみないとどうしても分からないんですよね。

ここで、オシリペンペンズの迎さんが試聴室に到着。迎さんにも参加いただいて、同作より、お客さんが鳴らすエアパッキンの音を取り入れた“火のこ”を聴いていただきましょう。

西「PCM聴いてからDSD聴くと、やっぱDSDいいよね(笑)」

ですよね(笑)。

西「でもこのエアパッキンの音が、たき火の音をイメージしてると思うねんけど、リアル過ぎてどうしてもエアパッキン感が残ってるよね。これは難しいところやねんけど、もしかするとたき火の音はPCMで録って、DSDと混ぜたら、よりたき火っぽくなるんかも。PCMってある意味で“嘘くささ”があるんやけど、その“嘘くささ”が立った方が良かったのかもね」

DSDの音の再現性の高さが、「爆ぜる音っぽい」という曖昧さを許さないのでしょうかね。

西「ここまでリアルに出ると、音源作る側のハードルが上がるよね。いや、怖いですよ」

そうですよね。本当に、誤摩化しが効かなそうです。
迎さん、どう思われますか。

迎さん(以下“迎”)「DSDで録る、というのを考えた時に、録音する部屋をどういう風にして……とか、色々(録音方法を)考えるのが面白くなってくるんじゃないかな、と思いましたね」

例えばペンペンズをDSDで録音するとすれば……。

西「みんな際限なく“こうしようああしよう”ってなっていきそうやな」

迎「そうですね。やっぱ実際の音に近い録音が出来た方がいいし、マイクや部屋の違いで面白みが増えていくと思ったら、こっち(DSD)の方を使いたいとは思いますね」

ペンペンズのDSD録音、かなり聴いてみたい気がします。あの三人がスピーカーから飛び出してくるのかと思うと、それだけでわくわくしてきちゃいます。

さてここからは、この日来ていただいた方からのリクエスト音源を聴いていただきます。

まずは、谷本大輔さんのリクエストで、フェルナンド・カブサッキ & 大友良英による「-PHON vol.1- Improvised Session 20110501」。エレクトリック・ギターによる即興デュオです。

谷「さっきのPCMと聴き比べた曲(不和リン)の方が印象的というか……やっぱり、生音の方が合うのかな……って」

これは、さっきも出た「DSDで歪んだギターをどう録るのか問題」にもつながりますね。

次も谷本さんのリクエストです。OORUTAICHI「Cosmic Coco,Singing for a Blllion lmu’s Hearty Pi」より“Futurelina-album version-”
以前のDSD試聴会でも聴いていたので、何となく想像はついていましたが……。

谷「これもさっきと一緒になるんですけど、空気感まで聴き取れるからDSDがいい、みたいなところがあるような気もして、打ち込みだと、もちろんDSDだと良い音なんだろうと思うんですけど、それでDSDの良さが生きてるのかというと……」

ですね……。

西「これはこれで良いなとは思ったけど。レコードの方がむちゃ良いっすよね」

そう、この曲はアナログでもリリースされていて、森さんが来てくれた際の視聴会でもかけさせていただきました。その時はB面の“燃えるひみつ”だったんですが、それはもう素晴らしい音で、僕もそれを聴いて欲しくなったんですが、今年の始めに中古レコード屋で見つけた時は狂喜乱舞しました。

迎「でもDSDってアナログに近いんすよね」

ええ、確かに謳い文句としてはそういうことになっていますが、それは「PCMと比べると」ということでもあって、これまで聴いてきた個人的な感想としては、音の傾向自体はPCMともアナログレコードとも違う、「新しいデジタルフォーマットの音」と考えた方がいいんじゃないかな、という気がしますね。

文章さんはCDでリリースされたバージョンも聴かれたということですが、CD版とDSD版との印象の違いは?

西「全然違うね。(CDと比べると)めちゃ可愛くなってる。DSDの方は可愛い音楽になってる」

迎「そんなに印象変わるんですか(笑)」

西「アメリカ(PCM)とヨーロッパ(DSD)みたいな違いというか(笑)」

なるほど、多分CDでは音が圧縮されてある種の荒々しさが出ているのが、DSDだと潰れずにどこまでも抜けていくので、タイチさん独特の色んな音の遊びが鮮明になって、にぎやかで楽しいムードも生まれてきてるんですね。

次は杉本くんからのリクエストで、大野由美子+zAk+飴屋法水「scribe」より“scribe_ii”。
この曲ではスティールパンの音がフィーチュアされていて、DSDでのリアルできらびやかなパンの音を期待して聴いてみたんですが、実際の出音は、なんだかモヤッとした感じに。

杉「ZAKさん、スティールパンにもエフェクトかけてますよね。なんかそういうのって相性良くないのかなぁ(笑)。飴屋さんの最初の物音とかはすごくリアルやったんですけど。」

うーん、こういうダブ処理をDSDでどう扱うか、ということに関しては、結構難しいものがあるのかもしれません。

杉「ギタリストとかが自分でエフェクターを操作して出した音とかは全然良いと思うんですけど、演奏者の間に入った人による加工は、ここまでクリアやと……ちょっと白々しく感じてしまって。もうちょっと音に密度が無いとあかんのかなあって。ライブ観る時とかでも、天井が高すぎるライブハウスって最初の2、3曲を聴いてる時はなんかちょっとよそよそしい感じがするんですよね。何曲か進んで行くうちに場の空気も馴染んで良くなって行くんですけど、それに近い感じがちょっとありましたね」

ダブのようなトリップ感や音のパンチ力が魅力になってくるようなエフェクト処理は、PCMの方が相性が良いのでしょうか。いずれにしろ、僕が今まで聴いてきたところでは、DSDの魅力は、「生音が存分に鳴っている空間を捉えた音源」に強く出ているようです。

杉「梅田(哲也)さんとかテニスコーツとか、PA通さずに演る人のライブをDSDで録ったものが聴いてみたいかな……って気がしますね」

西「確かにテニスとかはいいと思いますよね。テニスってライブの時動くじゃないですか。でもあまりPA通してると動けなくて。だから録音もあの人たちが自由に動き回れる状態で出来たらストレス無いなと思うんやけど。多分“録音と言えばマイクに向かって”っていうのはストレスあるやろうし」

確かにテニスコーツはマイクすら使わずに客席内を歩きながら演奏したりするぐらいですから、その空間を上手く切り取れたら、すごく面白い録音になりそうですね。

西「そういう録り方をPCMでやってみるんやけどやっぱり難いねんな。多分DSDの方がいいと思う。PCMやとそういう録り方をすると、距離感とかが表現できなくて、単に“あ、オフマイクやな”っていうだけになってしまう(笑)」

なるほど(笑)。それはもしかすると、僕らの頭の中に「PCMのオフマイクの音」というイメージが知らず知らずのうちにインプットされてるから、かも知れませんね。

PA通さずに、というお話があったので、以前かけさせていただいた、DSDでのワンポイント録音を実現した南博トリオ「Live at ARISTOHALL」より“Doxy”を聴いていただきました。
正にホールにいる錯覚を覚えるような、空気感溢れる録音です。

西「やっぱりこういう(録り方)が良さそうですけどね」

指向性のあるマイクを何本も立てて録音しなくても、これだけの音が拾えちゃうんですね。

杉「演奏がそのまま聴こえすぎて、プレーヤーのハードルも上がるんやろうなぁ、っていう風に思います。演る側も緊張しそうですね(笑)」

エンジニアにしても、マイキングは数が少ない分、逆に難しくなる側面もあるんじゃないかと思うんですが。

西「割り切ればすごく楽かな。例えばDSDで録るとしたら、2本か4本のマイクを立てるだけで、オンマイクは一切使わない、という事に同意してもらえるんやったら、結構割り切れるんちゃうかな」

杉「高槻の視聴会で三浦社長がライオネル・ハンプトンをかけてくれたときに、当時はマイク2本で録音してた、っていう話をされてて、DSDになるとそっちに戻って行くんかも、と思いました。マイクの立て方とか使うマイクとか、そういう、デジタルになる事で、逆にアナログ時代にこだわっていた部分に戻って行くという……」

うん、僕もそこは同感で、先にあった「DSDはアナログに近い」という話で言えば、これはアナログ回帰というよりも、デジタルで録音の理想を追い求めていくと、結局それはシンプルな結論に達することになるんじゃないかな、という風に思うんですよね。ただ、こうやって聴いているとDSDには「DSDっぽさ」が濃厚にあって、演奏や楽器によっては相性の良し悪しもある。

この辺りが録音技法や機材によって変わっていくものなのか、そもそも今後もデジタル録音はPCMとDSDとの棲み分けが出来ていくものなのか……僕のような素人にはさっぱり分からないところではありますが、よりDSDの良さを活かした魅力的なコンテンツがどんどんリリースされることで、DSDが徐々にこなれてゆき、あの独特の音世界が誰でも気軽に自宅で堪能できる環境が整えば、オーディオの楽しみは確実に広がるだろうな、ということは想像に難くありません。

そんなこんなで、DSD音源の「本物の音」を聴くために場所と時間をお借りしての試聴会はこれにて終了です。皆さん貴重なお時間をありがとうございました!

また、僕のこの気まぐれ開催のイベントでなくても、アサヒステレオセンターの試聴室ではいつでもDSD音源の試聴環境は完備されています。「DSDってちょっと気になる……」という方は、ぜひ一度お店に問い合わせてみてください。TwitterへのリプライでもOKですよ。関西随一のDSD再生環境を有するアサヒステレオセンターは、皆さんのお越しをお待ちしてます!

それでは最後に本日参加いただいた方に絡んだ告知を。

2月20日には谷本さんの企画イベント「極楽駐屯地3」が開催されます。アニス&ラカンカ、umamo feat.ブロッコリーズ(貝つぶ+光永惟行+チャピ)、村上ゴンゾという見応えありなメンツです!

3月10日/11日には、杉本くんも共催している「IKITSUGI / SHOS / HOP KEN 合同企画」が旧グッゲンハイム邸で開催。西川文章さんもPAとかきつばたでも参加されています。必見!

そして、同じ旧グッゲンハイム邸で4月28日には一橋さん企画のイベントが開催。シラオカ、スティーブジャクソン、稲田誠、kacconoと、こちらも非常に気になるラインナップです!

迎さんのバンド・オシリペンペンズでは、3月19日に難波ベアーズで似非浪漫、MASTERPEACEを迎えての「オシリペンペンズpresents超能力」というペンペンズ主催のレギュラーイベントが!

どれもとっても楽しそうです。この記事を読んでくださった方はぜひ遊びに行ってください(そして、DSD試聴会のことも訊いてみてくださいね・笑)。

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